「…。たらこなんて食べりゃいいじゃんか。」

泣きながら呟いて、持っていたクッキーを投げ捨てた。

こんなクッキー1つすら渡せないなんてね。
無理じゃん。
こんなので伝えられるわけないじゃん。
悔しくて苦しくて、私は初めて後悔しちゃった。

「どうして…中川先生を好きになっちゃったんだろう。」


しばらくして塾に戻った。

「お、相原どした?目…赤いぞ?」

少し真剣に心配してくれる沢山先生。

「…え、えっと。」

えっ、目赤いの!?
なんて言えば…。

「あ、本当だ。腫れてんね。相原さん、何かあった?」

中川先生…。
たらこが…とかそんな事言えないよっ。

「べ…別に!?花粉症です!!」

とっさに思いついた言い訳。
でも無理ありすぎ…。
一体何の言い訳。
でも中川先生も沢山先生も、何も言わずにいてくれた。

「あ、沢山先生。この子、僕送ってきますね。」
「おー、よろしく。」


…。静か。寒いな。星も…ない。
なんだか気まずいな。
なんか会話会話!

「そういえば…。こないだの、お母さん信じてくれなかったです。」
「そっか…。まぁでも、普通はそうだよなぁ。だって考えてみ?あんな時間に男と女…しかめ先生と生徒って、何してんのさ。とかさ…なるだろー?」

それが現実なんだよね。

「でもそんな…何もしてないのに…。」

だけどこれだって現実。

「俺としては君らとは、あんまり歳の差とかも感じない…でもやっぱ世間や親は認めないだろう。法律でも中高生と大人は駄目って決められてる。なのに自分の娘が、俺みたいなのと関係もってたら…って親の人は心配してんだよ。」