「あいつがこうしたんだ…。相原が気にする事じゃない。それにあいつは、西野は…相原に泣いてほしくて好きになったんじゃないと思うから。今ここでいっぱい泣いて、せめてと思うなら、あいつの前では笑え。」
「…っ。」

ぐっと涙をふいて、にこっと笑ってみせた。

「その方がいいって!…せっかくの今日だしな。落ち着いたら来いよ。」

そういって沢山先生は卒業会の準備にもどっていった。
ありがとう…沢山先生。

そろそろ卒業会が始まる時間だって思って…その教室にいこうと席をたった時だった。

「あのっ、相原…。」
「西…野?」

「さっき俺…噂の事嘘って言ったけど、あれ実は本当で…。だから、その…えっと。俺。俺…相原が好き。」

ちらって西野を見ると目が合って、思わずお互いそらして。

「相原っていつも優しいし。…先生の事は知ってる。今言っても叶わないって思ってたけど、でもだからって諦めたくなかった。」
「…うん。えっと、ありがとう。」

しばらくまた沈黙が続いた。
西野の視線を感じる。
私は…。

「…ごめんなさい。」
「うん。」
「私も同じなのっ。叶わなくても諦められないの。頑張って…みたいの。」

そして今日初めて、まっすぐに西野の瞳を見た。
伝えなきゃいけない…私の思い。

「沢山傷つけてごめんね。でも嬉しかったから…好きになってくれて。それは素直にっ…そう、思うから…っ。」

泣きそうになった。
視界が涙でぼやけてくる。

「私を好きになってくれてありがとう。」

笑顔で言った。
"ごめんなさい"はただの形。
これが私の本当の返事です。

「俺、諦めないからっ。絶対絶対振り向かせるから…待っててな。」