「アヤカ、アヤカっ！起きなさい！学校遅刻するわよ！」
　アヤカは母に起こされた。アヤカは、自分の部屋のベットの中で目を覚ました。
「……夢。」
　シホも他のみんなも、あの恐ろしい缶蹴りゲームも、すべて夢だったのかとアヤカは放心した。
「ほら、早く。もう。少しは、部屋片づけなさい！」
「わかってるよ、あとでやるから。」
　アヤカは眠い目をこすり、起きあがった。
「あら、アナタ炭酸飲めるようになったのね？」
「え？」
　振り向いたアヤカは目を丸くした。
　アヤカの机の上に、つぶれた缶が置いてあった。
「これ？！……」
　アヤカは母から缶を取り上げた。
「なに？……、ほら、もういいでしょ。貸して。」
　母は、アヤカの手から缶を取り上げ、持っていたゴミ袋に缶を捨てた。
「朝ご飯出来てるから早く食べちゃいなさいよ。」
「ぅん。」
　母は、部屋を出て、一階へと下りて行った。

　自分の身に起こったことが、夢なのか現実なのか、解らなかった。
　ただ、机に置かれていた缶には、確かに蹴った跡がしっかりと残っていた。