暗い穴の中を落ちていくと明かりが見えてきました


アリスはスタッと華麗に着地すると周りを見渡します


(おかしな所。)





そこには小さな扉だけが



(人をどれだけ小さく見ているの……?)


すると誰かやってきました



「やぁ、お嬢さん。
ここは初めてかい?」


「ええ、そうよ。」

(当たり前じゃない。こんなめんどくさいこと二度はないわ。)


そんなことを思っているとは感じさせない可愛らしい笑顔でした



「だったらこれを食べなさい。」

そう言って渡されたのは一枚のクッキー


(毒とか入ってないでしょうね……)

「何も怪しいものは入っていないよ。」


よほどアリスの顔が不審そうだったのか、そう言って去っていきました



アリスはじっとそのクッキーを見つめていたかと思うと、ポイッと捨ててしまいました

(怪しいものはないって言うものほど怪しいのよ。)


アリスは用心深い娘だったのです