森をずんずんと進んで行くと

「よぉ、アリス。」


これまた気持ちの悪い声でアリスを呼んだのは

「あら。さっきの(不細工な)猫ね。」


「どうだった、アリス?」

「何がかしら?」


「冒険は。」


「これを冒険と呼ぶのなら世の中の冒険家はずいぶんと生ぬるいのね。」


「それで答は見つかったかい?」


(結局無視なのね……?)

アリスは話の噛み合わない会話にイライラしてきました

「何のかしら?」


「君はどうしてここへ来た?」
「君はどうしてウサギを追いかけた?」
「君はどうして城へ向かった?」
「君はどうして帰りたい?」
「君はどうして冷めている?」

「君はどうしてアリスなんだ?」


さっきと同じ問い掛けをしてきます


アリスはふっと笑って自信満々に言いました



「理由なんてないわ。
全ては偶然にして必然。

そして私はアリス。それ以上でもそれ以下でもなく、今までもこれからも私はずっとアリスよ。」



猫はニタニタした笑いをして言いました

「なかなか興味深いね。……さぁ、そろそろ時間だ。」


猫がそう言うと猫の下の木に扉が出てきました


「それじゃあアリス、また逢える日まで。」

(またデジャヴだわ。)


「それじゃあね。もう二度と逢わないけれど。」

アリスは爽やかな笑顔で言い切りました


「それはどうだろうね。
全ては偶然にして必然らしいから。」




アリスはそのまま扉に手をかけ
不思議の国と別れました