逆光の眩しさで見えなかった顔が、少しずつあらわになると、そこには、なんと《あの目が死んでいる男》が立っていた。

「お前は・・」

「・・どうも」

男は、軽く頭を下げた。
状況が、掴めなかった。いつも私の隣で、キーボードの打つ手も止めずに脚本を書き続けている男が、何故こんな所に居るのか。

「なんで、ここに・・」

「先日のIT社長殺人事件、犯人はあなたですよね?ドラマ見て、おかしいなぁと思ったんですよね。しかも、あなたの同級生らしいじゃないですか、殺された社長さん」

私は、直感で感じた。この男は、私の事をすべて調べ上げている。

「それが、どうした」

私が、震えながら男に言うと、男は笑って答えた。

「ははは、実に素晴らしい!登場人物の感情をリアルに書き上げる為に、本当に人を殺すとは」

男が、高笑いすると、私は続けて言った。

「私には、それしかなかった。君たちに勝つには・・」

「そうですか」

「なんだ、警察に突き出すなら突き出せばいい!その変わり私はあの地下で行われている事をすべて話すぞ!!」

私は、恐怖に怯えながら、男に言いたい事を言い放った。
すると、女子生徒が私の元へ、歩いて来た。

「ほんとに殺されちゃうと思ったじゃないですかぁ~」

「わりぃわりぃ、ちょっと助けが遅かったかな」

この二人は、一体なんだ?知り合いなのか?状況がまったく掴めない。この状況は・・
私は、頭が混乱していた。

「ちょっと、取引しませんか?」