ありがちな青春物語


『これで迷惑かけたの二度目だよね。ごめんね。』


この一言が唯一、あたしに掛けた言葉。
いや、一応、文章か。

あの人の眼。
あの眼には心を吸い取られるかと思った。


「もしかして、クールっぽい方なの?
まぁ、あたしも好きになるならあっちかもな。もう一人のチャラい方はめんどくさそうだし。」

「ちょっと!好きだなんて言ってないでしょっ。」


聡美がため息をついた。


「じゃあ気になる存在かぁ。」


う……。
悔しいけどとてもしっくりきちゃった。
ホント悔しい。


「き、気になるんじゃなくて!」

「なに?」


聡美が今度は頬杖をついた。


「ただ、あの眼力が頭に残るだけ!」

「あんま変わんないじゃん。」

「変わるもんっ。」


必死で抵抗した。

抵抗するのも無意味だったけど。


「ふーん。
ま、どっちでもいーけどね。」

「よくないよ。」

「はいはい。
で、あの眼力がつよーい彼のお名前は?」

「もうっ。
確か『海』ってもう一人が呼んでたかも。苗字か姓名かどっちなのかわかんないけどね。」

「え?海?
それってもしかすると……。」