「あたしはっ!」
「ほら〜
またムキになるとこが怪し〜」
聡美は楽しんでいる。
「ただあたしはあの人達に絡まれた時のことを説明しただけじゃんっ。
しかも、恋なんて展開早すぎでしょ、どこの少女マンガよ?」
「でも、さっき忘れられない、って言ってた。」
「あれは!」
「なに?」
「………っ。」
相変わらず聡美はニヤニヤしている。
「忘れられないんじゃなくて、なんか知らないけど頭からあの人の事が離れないのっ。」
「同じじゃん。」
大きな声を何度も出していたら疲れてしまった。
「はぁ〜…。」
「ま、とりあえず、お茶飲みなよ。」
聡美がコップにオレンジジュースを注いで渡してきた。
「お茶じゃないじゃん。」
「なにか文句でも?」
「ありません。」
口から胃へ酸っぱい液体が滝のように落ちていく。