ガラクタのセレナーデ

 途端、那智が嗚咽を漏らし始めた。
 その両目からは、涙が次から次へと溢れ出した。
 子どものように顔をぐしゃぐしゃにして泣く那智を優しく見詰めながら、いろははそっと頭を撫でてやる。


「那智、あなたは
 幸せになっていいんだよ」


 その言葉に那智は、泣きながら笑い出し、
「何だよ。
 泣くのも、幸せになるのも、
 あんたの許可がいるのかよ」
 そう言って、抱いていた膝を落とすと、立膝になって、いろはを抱き締めた。

 那智の胸に抱かれながら、いろはは幸せそうに瞼を落とす。



「私が許可してあげないと、
 あなたは自分一人では何もできないから」

「うん、トイレも行けない」



 重なり合った二つの影は、
 薄暗がりの中、溶け合って……


 そうしてベッドの中へと沈んだ。









        H23.2.2
       『ガラクタのセレナーデ』Fin.