ガラクタのセレナーデ

「私はあなたに出会って、
 あなたを愛して、
 そしてあなたに抱かれて、
 幸せを感じた。

 例えあなたは、私を愛していなかったとしても、後悔はしていない。
 あなたは私に、誰かを愛することの喜びを教えてくれた」

 いろはの視界が涙で霞み、那智の表情は滲んでしまってよくわからない。
 だが構わずいろはは続けた。

「あなたにも、いつか、
 誰かを愛する喜びを知って欲しい」

「もう知ってる」
 そう言って那智は膝の上に置いた両腕に顔を埋め、
「知りたくなかった」
 と、くぐもった声で続けた。

 いろははそっと近付き、那智と向かい合うようにして膝を落とした。

 両手を伸ばし、那智の顔を腕の中から優しくすくい上げた。
「那智、泣いていいんだよ。
 涙は決して弱さなんかじゃない。
 人は、泣いて強くなる。

 悲しみを受け入れる強さを、あなたも持って」