「黒川くん、今日ずっと手繋いでていい……?」


「……え」



黒川くんの体温が心地好いから、ずっとこうしていたい。


そう思って、聞いたら何故か固まる黒川くん。



その反応にわたしはガーン、とショックを受けた。




「だ、ダメ……かな」



ジッと見つめて尋ねると、黒川くんは何かを観念したようにため息をついた。


そのため息がわからなくて“?”が頭に何個も浮かぶ。




「黒川くん?」


「伊織って、結構意地悪だよね」



そう言ったきり黒川くんはそっぽ向いてしまった。



――だけど、手は繋いだまま。


それが嬉しくて、ふにゃっと顔がニヤけた。