「黒川……くん?」 ――もしかして。 頭の中に、さっきの言葉が浮かび上がる。 “不釣り合い” 黒川くんも聞こえてたかな? だとしたら。 だとしたら……黒川くんは、どう思ったのかな。 「何ぼーっとしてんの」 ――ギュッ。 黒川くんが、また抑揚のない声で話したと思ったら、黒川くんがわたしの手を握っていた。 え……? 「はぐれられたら困る」 ……それに。 黒川くんはそこで切って、わたしを見て笑った。