なんで初デートに寝坊なんかしちゃったんだろう――。
そんな風に考えていたら、眉間にヒヤリ、と冷たい感触。
「……?」
「眉間にシワ」
そう言って笑う黒川くんに、冷たい感触が黒川くんの手だって気付く。
そして気付いた瞬間、顔が赤くなった。
「次は赤いよ?」
ニッと口角を上げて悪戯に微笑まれる。
そして、そんな顔を見せられたら赤くなった顔を隠すように俯くしかないんだ。
「黒川くんて、意外と意地悪だよね」
「そんなことない」
だけど……それと同じくらい、優しいよね。
さっきまでのモヤモヤが黒川くんの行動一つで、飛んだのを感じる。

