「で、用事って何?」



そう聞かれて、「あ」と声が出る。


そうだった。

デートのこと言いに来たんだった。


これが用件だったのに、忘れるところだった。




「デートのこと」


「あぁ……」


「行く所、ショッピングでいいかな?」


「ん、了解」



黒川くんは薄く笑って、わたしを見る。


それが何だか嬉しくて、わたしも笑みが零れた。



――デート、楽しみだなぁ。