「な、なんで笑うのっ!?」 「いや……何でもない」 何でもない。なんて言いながら、黒川くんはまだ笑っている。 何でもなくないじゃない!! 恥ずかしくなって、黒川くんを少し睨む ……と、赤い線に目がいった。 「黒川くんっ、血っ!」 「血?」 黒川くんの頬には引っ掛かれたような傷跡。 そして、その傷からは血が滲んでいる。 それを伝えると、黒川くんは 「……あぁ」 なんて言って、制服の裾で拭った。