そう答えて、へらり、笑う。

だけど、んん?



“奪われてしまうんじゃないかって……”


さっき考えたことを思い出して、ボッ、と顔に熱が集まる。


え、え、え。
だって、……え?



一人顔を赤くして、パニックになっていると。


ぽんっと頭を小突かれて、私にだけは優しい彼の声がした。



「伊織」


どくどくどく。

いきなり心拍数が上がって、身体中の血液が沸騰するような感覚。


もともと赤かった顔が更に赤くなった。




「く、黒川くん」


「……何でそんな顔赤いの」