その言葉を聞いた瞬間に溜まっていた涙が頬を伝って落ちた。
もしかしたら
心のドコかでその言葉を待って居たのかもしれない。
俺は自分でも気付かないうちに
ずっと我慢していたんだ。
そして現実から逃げていた。
向き合ってたつもりだったけど、
「俺だて恐かったんだ‥」
潤が居なくなるのが‥
潤が居ない生活が当たり前になるのが‥
恐かったんだ。
「‥当たり前だよ」
杏子はそう言って俺を強く抱き締めた。
杏子だって
菊池だって
頑張ってたのに
俺だけ潤の病気から逃げてたんだ。
それに潤だって‥
「俺‥情けねーよな」
「全然そんなことないよ‥
宏揆は誰よりも強くて優しいんだから」
つい零れた弱音。
それでも杏子は優しく慰めてくれた。
「知ってる?岡崎君が立ち直れたの、
宏揆のおかげなんだよ?
美羽の力もあるけど1番は宏揆の言葉なんだって‥
岡崎君がこの前‥教えてくれたんだ。」
俺はそっと杏子から体を離した。
杏子の顔が見たかった‥
杏子の笑顔が見たかったんだ。
杏子は涙で輝いた瞳のまま
笑顔で
「宏揆みたいないい男、俺の知る中じゃ居ないから
絶対手離すなよ。って‥
言ってくれたんだ。
だから宏揆は情けなくなんかない‥。
もっと自信持っていいじゃん。
私はそんな宏揆が
大好きだから‥」

