「宏揆は頑張り過ぎなんだよ‥?
 それは岡崎君のお母さんだって思ってる。
 だからもし宏揆にチケット渡したら
 宏揆がどーするのかが、
 だいたい予想つくんだ。」

俺が貰ってたらどーするか‥。

「きっと宏揆なら4人でじゃなくて
 美羽と岡崎君だけに渡してると思う」

杏子の言った通りのことを
俺は考えてた。

「そりゃぁ私だって美羽達が2人で
 居る時間を大切にしたいと
 思ってるけどさ‥‥
 4人での思い出ってまだ‥
 少ないじゃんか‥」

確かにそうだ。
4人で学校意外を出歩く事は少ない。
だから映画も今回が初めてなんだ。

「‥‥それに」

杏子は俺の手を握って

「1番岡崎君と思い出つくりたいのって
 宏揆なんじゃないの‥?」

俺から視線を逸らすことなく問いかけてきた。

「それとも‥岡崎君を信じてるから
 思い出なんて作らなくても大丈夫?」

杏子は放心状態の俺の体に抱きついて

「‥違うでしょ!?」

って大声をあげた。

「現実から逃げないで‥
 ちゃんと現実と向き合って‥
 岡崎君の病気を受け入れて‥

 もう‥我慢しなくていいんじゃない?」