こうして俺は杏子を自分の部屋へ連れて行った。

その間も杏子は何も話さなかった。

「適当に座って」

ベッドに座った杏子の隣に
少し間を空けて座った。

「で。どーしたんだよ」

その言葉で杏子の瞳から一粒の涙が落ちた。

「‥後4ヶ月なんだよ‥‥?」

あぁ‥そーゆー事か。
後4ヶ月で俺らは卒業。
潤は‥‥今のところどーなるか分かんない。

でもなんで急に杏子がそんな事気にしだしたんだよ。
今までは何1つ考えてる素振りも見せなかったのに‥。

「なんかあった?」

俺はそれを聞くのが一杯一杯だった。

「映画のチケットね‥岡崎君のお母さんから貰ったの」
「‥‥まじかよ」
「潤君の思い出つくってあげてねって‥」

何で杏子が?
杏子と2人で歩いてる時に会ったことがあるからか‥?
何で俺に渡してくれなかったんだよ。

「お前さ‥何で早く言わねーんだよ」
「本当は宏君には言わないでって言われたんだ‥」

意味分かんねーよ。

杏子はポタポタと涙を零しながらも
話を続けた。