杏子も沢山思い出作りたいって言ってたし
潤たちの為かどーかは分かんない。

けど4人分のチケットは
どこで手に入れたんだよ?

俺と杏子は毎週土曜日にデートって約束をしてるから
その時に聞くか。

つってもデートらしい事はほとんどした事がない。
どっかで話をして帰る。それだけ。

何でかってのは‥‥
俺は杏子を今でも彼女として
見ていないから。

いつも潤の隣で無邪気に笑う菊池が邪魔をする。
菊池の笑顔は可愛い過ぎるんだよ‥

だから抱き締るくらいしか何も恋人らしい事はしてあげれてない。
それすらここ3ヶ月くらいしてねーのに。


「おはよ」
「はよーっす」

気付けばもう土曜日。
潤の病気を知ってから時間が流れるのが早く感じる。

「ねぇ‥もう12月だよ?」

町を歩いていると確かにクリスマスの色に染まりつつある。

‥だから何?
って聞こうと思ったけどやめた。

杏子がドコか寂しそうな表情を浮かべていたから‥。

「あぁ‥そーだな」
「宏揆は焦ってないの?」
「何を?」

杏子は珍しく俺の腕をギュッと抱き締めた。

俺は歩くのをやめ、杏子の珍しい行動に戸惑っていた。
杏子は無言でただ俯いている。

「ココじゃ寒いし‥‥俺の家行くか」