「美羽!ホントに私たち何にもないから。ただ私が転んだだけだからぁー」
「大丈夫。分かってるよ!」
俺は半放心状態で落ちてきた本を見つめた。
潤は俺が誰かと付き合えば
菊池に告白できるんだよな?
じゃぁ見られたのが菊池でよかったのかも‥
「‥‥へ?」
俺は意味もなく杏子の腕を引っ張って自分の元へ引き寄せた。
ごめんな杏子‥。
全部アイツの為なんだ‥
許してくれなくてもいいから
「今だけ‥」
菊池が慌てながら口を開いた。
「っ杏子、私‥先戻ってるね」
「あ、わりーもう大丈夫。驚かしてホントごめんな」
「うんん、平気平気!行こ美羽」
平気って言ってるわりには
動揺しまくりじゃんか。
つーか俺、何やってんだろ‥‥。
好きな奴が目の前に居たのに、
杏子にまで迷惑かけて‥
自分の気持ちに嘘ついてさ。
すげー悔しいし辛い。
でもさ潤はもっと苦しんでんだ。
だから俺は少しでも潤が幸せだって思ってくれれば、俺がどんなに辛い想いしても
それでいいんだ。

