天秤の鏡界


コツコツコツ


優衣とウルは
無言で廊下を歩いている


なんというか…
気まずい…


先程のやりとりが
あったのもあるのだけれど…



「…あの〜ウル?」


優衣は思い切って
恐る恐る声をかけた


「………何?」


不機嫌そうではある
ものの返事は返してくれた


「…私の名前言って
なかったよね、あたしは…」



「知ってる…
言わなくてもいい」


ウルは優衣の言葉を
遮りそう言い捨てた