天秤の鏡界


「………何故」


だってあたしこの世界に
来たばかりで
知り合いどころか
人間の姿すら見てないのに

誰かと間違えてるよ


「あの…人違いだと…」


優衣の言葉に少年は
首を振る


「…人違いじゃない
あんただよ」


どっからその
自信が来るんですか!
狼さん!!

とは言えず…


「…あたしあなたの事
知らないし、こっちに
来たばっかりで迎えに
来てくれるような知り合い
もいないんだけど…」