天秤の鏡界


《……優衣……》


その声は質問には答えずに
優衣の名前を呼ぶ



優衣は声のする
方へと走り出す



《…優衣…こっち…》


声の主に近付いて
いるようだ


さっきより声が
聞き取りやすい


「何処なの!?」


優衣はそう叫んで
足を止めた


目の前にある
鏡を見つめる


「……まさか……」