天秤の鏡界



「ネル様、ユーティエル
王国のフレア様が
いらしています」


見たことのない男の人が
扉の前で頭を下げる


誰だろう…?


「フレア様が!?何故…
夜会までにはまだまだ
時間があるというのに」


ガタンッ


ネルは勢いよく
立ち上がり、ドレスの
裾を持ち上げる


「ティモル、フレア様を
客室へ。私が行くまで
丁重なおもてなしを」


「はい!」


美しくお辞儀をして
踵を返した