天秤の鏡界



「…なんの…事…かな
考えすぎだよ」


そう言って笑顔を
作った



「じゃあなんで…」


言いかけたウルの
背中を優衣はぐいぐいと押す



「足ぶつけたの!
痛くて痛くて!
涙が出ちゃっただけ!」



我ながら下手な
嘘だと思う

苦し紛れの嘘だ



「外で待っててね!」


そう言って強引に
ウルを追い出した