天秤の鏡界


ガバッ


「はぁっ…はぁっ……」


優衣は飛び起きて
額の汗を拭う


汗で寝巻が
びっしょりだ…


「…………どうしたの?」


いつもの無表情ではなく
ウルは優衣を心配
そうに見つめる


「…あ……ははっ…
何でもないよ!」


そう言って笑顔を
作るが自然と声が震えた



嫌だなぁ…
ウルを見ただけで
安心して涙が出そうになる


「なんでもないよ
着替えるから
のぞかないでよね!!」


そう言っていつものように
ウルを部屋から追い出す


珍しくウルは
何も言い返してこなかった


バタンッ

「…ふぅ………」


扉が閉まり力が抜けて
よろよろと崩れ落ちる