「...別に泣いてない。」


「泣いてんだろ。無理すんな。」


「...ッ...うぅ...」


「お前、智也の元カノだろ??」


「...うん...」

『元カノ』って言葉に心が痛んだ。



「なんで知ってるの...??」



私たちは2週間くらいしか付き合ってない。

だから付き合ってたのを知ってる人はほとんどいないと思うんだけど...


「...見てたから。」


「...え??」


「見てたから。お前のそのヘアゴム、目立つからさ♪」


「え...コレ??」



あたしは青のシュシュで1つに結んでる。

このシュシュ、そんなに目立つかな...??


「それに俺、智也と同じクラス。お前が教室来てたのも知ってるし。」


「そっか...トモと同じクラス...」


「うん。あいつ、彼女いるみたいね。」


「うん...そうだね。もう、あたしのことなんてかまわなくていぃ...の...に...っ」


「...泣きたいときは泣け。」



そう言って優しく頭をなでてくれる彼...


「...ッ...うぅ...ヒク...」


涙が止まらない。
それでも彼は泣き止むまで傍にいてくれた。




「落ち着いたか??」


「...うん。ありがと...あの、名前...」


「あぁ、教えてなかったっけ。『柳田 龍(ヤナギタ リュウ)』クラスはA。よろしくな☆」


そう言って無邪気に微笑み、差し出された手をあたしは軽く握る。


「...よろしく」





───これがあたしと彼、『龍』の出会い。



このときは、辛くて苦しい戦いが待ってるなんて


思ってもなかったんだ...