「もう……蒼と散歩に行けないね」




伏せ目がちに雪が言った。



「行けるさ。」




「えっ?」





「僕が雪を背中に乗せればいい。走りたければ、僕の背中で景色が飛んでいくのを見てよ。いつでもずっと、僕はいるから。」





今日1日で何度目だろう。雪と蒼はきっとこれから何度もあるであろう抱擁をかわした。