「……家って、梨香の?」 「そうだよ?」 ようやくしゃべった佑樹の声は、いつになく緊張しているような感じがする。 「お母さんが佑樹を連れてきてって……あ、嫌だったら無理しなくても……「行く。」」 「えっ?」 「だから、行くって言ったんだよ。」 佑樹の声が大きくなってる。 ……何か新たな一面を見た気分。 「……分かった。お母さんにも言っとくね。」 「部屋、片付けとけよ?」 「部屋?」 「梨香の部屋に入るの、楽しみにしてる。」 「えっ、ちょっ……」 電話からは、機械音だけが響いていた。