「お弁当、ものすごくおいしいよ!」 「よかった!今日はちょっと、頑張ったんです。ほら、このハンバーグも作ってみたんですよ?」 僕は嬉しそうに隣で言う洋子をじっと見て、笑った。 「……あれ?どうしたんですか?」 洋子はもちろん、突然黙った僕を不思議そうに見上げる。 「……さっきから敬語使ってばっかり。」 「あ……」 「……おしおきしてもいい?」 「えっ、おしおき……んっ!」 心地よい風が僕たちを通り抜けていった。 彼女の匂いが一段と強くなる。 世界が一瞬止まったようだった。