「なーにが西本さんよ!理事長の娘って理由であんなちやほやしたりして…ほんとみっともない教師たち!」


これが…あたし?
嘘……。

あたしじゃないみたいな言葉しゃべってるよ!
ど、どうすんのお!?

ザマ子に怒られるだけじゃん…。

これじゃますます確執があ…っ。

「なんなんですっ!教師にむかってその口の聞き方は!!」

早く謝らなくちゃ…。


「そりゃそうでしょ。悪人にこーゆーこと言って何が悪いの?あ、あんたの場合悪人ってよりただの弱虫って言った方がお似合いねえ!」
ええぇえぇぇっ!?
どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどしたの!?

あたし……っ。
気持ちとは裏腹に口が勝手に心の奥の思いをしゃべっていく。


もう謝る余地もないし、今更すいませんなんて謝れない…。

「もうやめてえ!」

ザマ子とあたしの口喧嘩を仲裁したのは美和。


「なんなの、美和!邪魔しないで。これはあたしとザマ子の問題…ブッッ!」
ガスッとお腹を
美和の白く小さな拳で殴られた。

案外美和って力強いのね………。

話すことをやめたあたしの隙に入って美和がキリキリとまくし立てていく。

「もお。あげはやめて!先生に失礼じゃない。てゆーかあたしの財布の中の2万円のことから話題それてるわ。…先生、もう大丈夫です。2万円は気づかないうちに使ってしまっていたのかもしれないです、ご迷惑おかけしました。……あげは、ちょっと来て。」

そう言って美和はあたしの襟首を掴むと、ズルズルと近くの空き教室まで引きずった。


「あげはさあ、なんなの!あたしの面目丸つぶれじゃない。あたしが2万円使ったこと忘れて1人でヒステリー起こしたみたいじゃない!少しは考えてよ。普通に考えてごらんなさいよ、どう考えても先生ウケがいいのは成績、容姿、態度、共にあたしよ!あげははあたしの引き立て役として横で悪人になってればいーのぉ!!」

……ちょ…っと…
美和……
本性あらわになりすぎ…。