千里くんと2人きりになった途端、急にドキドキと緊張してきた。
真子といたときは大丈夫だったのに……









きっと私の顔が緊張して強ばっていたんだと思う。
千里くんがいきなりぷっと吹き出した。









「あっはははは!!
杏里ちゃんなんつー顔してんの!!!」








「うっ…し、失礼なッ!
自分が今どんな顔してるかなんて自分じゃわかんないでしょ!!」









千里くんに対して逆ギレする私。










「あ…たしかに。
自分で自分の顔なんて見れないよね。
鏡の前じゃあるまいし」









逆ギレしちゃったから引いちゃうかなって思ったけどそんなことはなく、真剣に考えてくれた。
…うん、もちろん予想外だったんだけどね。










「ま、いっか。
こればっかりはどうしようもないし♪」









そう言って笑顔をつくる千里くん。










やっぱりこの人には笑顔が似合うんだよなぁ。










「あっ…そういえば、なんで…湯川さんの名前知ってたの?」









敢えて真子を“湯川さん”と名字で言った。









「湯川 真子さん、でしょ?
湯川さんと杏里ちゃんのコンビは有名だったからね」








私は先生たちに真子といるときに怒鳴られる度に隙を見ては逃げ出して真子に任せっきりだったのを思い出した。









「あは…私もやんちゃだったものでね…」








「えっ、そうだったの?
意外だなぁ」