恋のベクトル。

因みに競走は100M走で、判定は
陸上部に頼んであるので心配ない。


「真哉(マサヤ)、大変な事に
なったねーまさか野崎さんと
100M競走って!!」


ヘラリと言って来たのは友達の
矢野 琢磨(タクマ)である。


「俺もびっくりだっつーの」


逆にびっくりしない奴を
褒めてやりたい位だ。


「本気で走るの?」


ニヤニヤという顔の琢磨は野次馬
根性丸出しで隠そうともしない。


「本気じゃないと俺が
ぶっ飛ばされるからな」


野崎は終始喧嘩腰で
「ぶっ飛ばす」発言も冗談に
するにはちょいと睨みが
効き過ぎていた。


要するに全速力じゃないと
ぐーパンチが待ち受けているのだ。