恋のベクトル。


-------------*-


「――競走相手は高梨で!!」


巨人こと、野崎梓がビシィッっと
効果音がつきそうな勢いで
俺を指差し指名したのには
さすがに驚いた。


いやまあ、確かに走ってみろ
とは言ったけれども…



どう考えたって男と女、
バスケ部と帰宅部、どれを比較
しても釣り合わない。


阿保か?こいつ―――


そう思いながら半ば呆れた
様子で野崎を見る。