…じゃあ、“何か”を抱えてる?


「僕はね、両親がいないんだ。赤ちゃんのころ、スズラン園においてかれたらしい」


「…悲しくないですか?大切な人に裏切られて」


「…確かにあの時は少し、グレたりもしたけど…今が幸せだからそれでいいんだ」



…私は言えるだろうか。

“今があればいい”なんて…



先生はもう前を向いて歩き出してる。私の何歩も先を。



なのに私はまだ過去を引きずってる…


自分が臆病者なんだ。



一歩を踏み出すことで、誰かに裏切られるのが怖いだけなんだ。





…そう思われたくなかった。


“かわいそうだね”そういいながら周りの人は、“自分たちのせいだろ”そう思ってるに違いない。


そう決めつけてた。私の何倍も…何百倍も苦しんでる人はいっぱいいるのに。