「…郁…ッ…」
この人はなんでこんなに俺を煽ってくれるんだろう。
唇の離れた瞬間。
吐息混じりに呼ばれる名前。
暗がりでもわかる。
熱っぽく潤んだ瞳。
遠慮がちに俺のワイシャツを握る仕草。
『……これ以上煽ったらこのままスルよ?』
腰に回した腕に力を込め、抱き寄せると。
唇から首筋へ。
自分の唇を移動させながら囁いた。
“ビクッ”
茜の体が震える。
「……ヤダ」
……自分が煽ったクセに。
“ココから先”はさせてくれないワケ?
茜の言葉に腕の力を緩め。
唇を茜の首筋から離しながら小さくため息を吐いた。
その時。
俺のため息にかき消されそうなくらい。
小さな小さな声で。
「………“ココ”じゃ、ヤダ…ッ」
茜が呟いた。

