ほんの数秒の沈黙が。
何分にも感じる。
やがて電話の向こうから聞こえてきたのは。
必死に笑いを堪える声だった。
「……ぷッ…あはッ…」
…何笑ってんだ、コイツ。
「…郁さぁ…」
笑いを堪えながら茜が言葉を発する。
その言葉に。
今度は俺自身が驚く番だった。
「ヤキモチやいてんの?」
『…んなッ?!』
…ヤキモチッ?!
……ヤキモチ…だって?!
茜の言葉に顔が熱くなってくる。
ヤキモチ、ヤキモチ、ヤキモチ…。
単語がグルグルと頭の中で回ってる。
「郁にもカワイイトコあるんだね」
『…うるさいよ』
“うるさいよ”なんて。
茜の言葉を…。
“ヤキモチやいてんの?”って言葉を肯定しているようなモンだ。
俺、なにしてんのさ…。
ますます顔が熱くなって。
ベッドに倒れこんだ。