『「はッ?!」』



俺だけじゃなくて。

涼真も声を上げた。



俺たち…いや。

正確には俺の反応を見てアツシが言葉を続けた。



「夏祭りの日、神社裏の公園で浴衣の彼女を抱きしめてる郁を見たって聞いてさ〜」



いやいやいやいや。

ちょっと待て。

あの時、俺と茜の他に誰かいたのか?

人の気配なんかなかったはず。

俺が気付かなかっただけか?



「ただその相手に関してはウワサになってない」

ケンチャンが顎に手をあてて考えるポーズをとる。



ちょっと離れたところに島崎がいたけど。

アイツがバラしたんなら“俺と茜”って断言できるんだし。



…とりあえず“俺と誰か”ってだけで。

茜のコトはバレてないならいいか。


「あの郁が、誰かに見られるカモしれない公園なんかで抱きしめてんだからこれは彼女でしょう!!ってウワサになってる」



…ウワサ、ねぇ。

ずいぶんヒマなんだな…。