泣かすつもりなんてなかった。
でも。
見上げてる俺の視線の先には。
目を潤ませてる茜がいる。
『泣くなって』
「泣いてないッ!!」
『泣き虫〜』
「うるさいッ」
俺の前で泣いてくれるって。
それは。
ちゃんと心を開いてくれてるってコトだよな?
そんな泣き顔さえ愛しくて。
涙が零れ落ちそうな目の淵を指で拭った。
『…でも。
“彼女がいる”ってのだけは言っとくかな』
「な、んで?」
『…女の子に興味がないワケじゃないんで』
もっと言わせてもらえば。
今の俺。
“女の子に興味がないワケじゃない”んじゃなくて。
“茜にしか興味がナイ”んだ。
「連れてこいって言われたら?」
『卒業式の後まで待て、って言う』
「まだまだ遠いね」
『あと1年半だよ』
そう、1年半。
時間なんてあっという間だ。

