『…ねぇよ。
いろいろめんどくさかったし』
“彼女”は人並みにいた。
でも。
会うのは外。
自分の家に呼ぶなんて考えは毛頭なかったし。
相手の家も家族に会ったりしたら面倒だし。
ウチに勝手に出入りするのは涼真くらいで。
男友達ですらめったに呼ばなかった。
俺のプライベートには踏み込ませたくなかったから。
「私も…こんな形じゃなきゃ郁の家に行くコトなかったカモね」
俺の耳に届いた小さな小さな呟き。
悲しげに、でも自嘲するかのように。
乾いた笑いが混ざった声。
「私、一人暮らしだし。
誰にも会わないから気楽だもんね」
“アハハ”と茜は笑うケド。
目は笑ってなかった。
…ったく。
自分で自分を“その他大勢”にしてんじゃねぇっつーの。
俺は茜の腕を引くと。
まっすぐ公園の中に入っていった。

