「マジで?メールとか電話もないワケ?」
『…全く。俺もしてないケド』
「すればいいじゃん」
『…何話せばいいかわかんね』
「手ぇ出すのは早ぇくせにカワイイとこあんだな」
『…うるさいし』
正直。
こんな気持ちになるのは初めてのことで。
自分でも気持ちを持て余していた。
あの宿題の日だって。
よくキスだけでガマンしたと思うし。
好きな女の“あんな声”聞いて。
暴走しなかった俺を誉めてやりたい。
キスの合間に漏れる吐息混じりの声。
苦しいのか、服の裾を掴む仕草。
俺の名前を呼ぶ声。
本能を煽るように見つめる瞳。
……記憶に鮮明に残ってて。
声なんか耳から離れない。
「…顔赤くしながらトリップしてんじゃねぇよ。
このスケベ」
ため息混じりの涼真に頭をこづかれた。