半熟cherryⅡ


つーか。

杉原、マジで辞めたんだ…。





机の上にバッグを置くと。

ベッドの端に腰を下ろした。





「周りには内緒だけど。
引き抜きの話もあったんだって」




茜が黒いファイルをペラペラと捲りながら言った。





…引き抜き、ねぇ…。

どこがホントで、どこがウソなんだか。



でも

それは茜に罪悪感を持たせないための優しさ、なのかもしれない。



そう考えたら。

俺はまだまだ足りねぇなって思う。





コンコン。

「入るわよ〜」





普段よりワントーン高い上機嫌な声と。

軽くドアをノックする音と共に。

母さんがお茶を持ってきた。





「しっかり話聞いてもらいなさいよ〜」

『…なんの話だよ…』





俺の呟きなんか聞こえないかのように。

机の上にお茶ののったトレーごと置くと。

半分部屋から出ようとしたトコロで振り返り。

俺の顔を見て眉間にシワを寄せた。





「…いくら先生が可愛いからって襲い掛かるんじゃないわよ」