つーか。
杉原、マジで辞めたんだ…。
机の上にバッグを置くと。
ベッドの端に腰を下ろした。
「周りには内緒だけど。
引き抜きの話もあったんだって」
茜が黒いファイルをペラペラと捲りながら言った。
…引き抜き、ねぇ…。
どこがホントで、どこがウソなんだか。
でも
それは茜に罪悪感を持たせないための優しさ、なのかもしれない。
そう考えたら。
俺はまだまだ足りねぇなって思う。
コンコン。
「入るわよ〜」
普段よりワントーン高い上機嫌な声と。
軽くドアをノックする音と共に。
母さんがお茶を持ってきた。
「しっかり話聞いてもらいなさいよ〜」
『…なんの話だよ…』
俺の呟きなんか聞こえないかのように。
机の上にお茶ののったトレーごと置くと。
半分部屋から出ようとしたトコロで振り返り。
俺の顔を見て眉間にシワを寄せた。
「…いくら先生が可愛いからって襲い掛かるんじゃないわよ」

