ケータイのディスプレイに浮かぶのは。
“母”の一文字。
なんだろ。
ひょっとして。
サボりがバレたかな。
なんて思いながら。
ケータイの通話ボタンを押した。
『なに?』
「アンタ今どこにいるの?」
『今?涼真ンち』
至ってフツーな母さん。
どうやら怒ってるワケでなさそうだ。
でも。
次に母さんの口から出る言葉が。
俺が悶絶しそうになるきっかけを作る。
『なんかあった?』
「先生いらしてるから帰ってキナサイ」
『は?!先生?!』
先生ってなに?!
話が読めない。
床に転がってた俺が慌てて飛び起きると。
勢い任せにテーブルの足に自身の足の小指をぶつけた。
『………ッてぇ!!』
「涼チャンちならすぐ帰って来れるわね?
3分よ、3分」
『…は?!ちょ…ッ!!母さん?!』
母さんは。
言いたいコトだけ言うと電話を切ったらしく。
足の小指を擦る俺の耳には。
“ツーツーツー”という無機質な音しか聞こえなかった。

