その言葉に。

目を見開いた茜を見つめたまま。

俺は言葉を続けた。





『大っぴらにできない分の不満ぐらい受けとめるから。
だから安心して吐き出しな』





口角を持ち上げて笑うと。

つられたように茜も笑った。





「…どっちが年上だかわかんないね」

『茜、すぐ泣くしな』

「泣かないし!!誰かサンに泣かされてるの!!」

『俺は“鳴かす”ケド“泣か”さねぇよ?』

「……ッ!!バカッ!!」

『茜チャン、なに思い出してんデスか〜?
顔、赤いケド?』

「うるさいッ!!」





こんな憎まれ口も愛しく感じてしまうのは。

相当茜にハマってるってコトで。



そう思ったらなんだか笑いが込み上げてきた。





「…なに笑ってんの?」

『なんでもない』





チュッ。



無防備な茜の唇に。

軽いリップ音をたててキスを落とした。