触れるだけの可愛いキス。
ほんの数秒。
唇に触れていただけだった。
それでも。
「ん…ッ?!」
『…足らねぇって…ッ』
茜からのキスは。
理性をぶっ飛ばさせるには充分すぎた。
片手で茜の体を抱き寄せ。
片手は後頭部を引き寄せる。
触れるだけのキスじゃもう足らなくて。
「…んぅ…ッ」
茜の息継ぎが間に合わないくらい。
“もっと、もっと”と。
貪るように唇を重ねた。
でも欲しいのは唇だけじゃない。
「え…ッ?!」
呼吸の乱れた茜を抱き上げ。
そのまま寝室の方を向いた。
「ちょッ?!郁?!」
『…めいっぱい優しくするから』
「や、そーゆー問題じゃなくて…」
抱き上げられたままの茜は。
モジモジとはっきりしない言葉を呟く。
『…なんかあるの?』
はっきりしない茜に。
ちょっと眉間にシワを寄せた。
すると茜は。
頬を赤らめ言った。
「…お姫様抱っこなんて、初めてされたから…恥ずかしくて…」

