「先生だ生徒だって突っぱねて。
それなのに郁に知り合いとか生徒に戻るとか言われたら…。
心臓掴まれたみたくすごく痛くって。
…私、郁にこんな気持ちさせてたんだってやっとわかった。
…ホント、自分勝手だよ…」





抱えていた膝をさらに“ギュッ”と抱えて。

そこに顔を埋めた。





『…自分勝手は俺の方だよ』





コトン。

グラスをテーブルを置くと。

ソファーに体の片側を預けるようにして茜の方を向いた。





『茜は俺の“今”も“未来”も守ってくれようとしてたのに。
俺は自分の気持ちだけで動いてた』

「違うよ!!郁は…」

『違かねぇよ。
お前と俺は間違いなく“先生と生徒”なんだから』





俺の言葉に。

茜が上げかけた顔をまた膝に埋めた。





…俺が卒業するまで。

お前と俺は“先生と生徒”。

この事実は変わらないんだ。