その言葉を聞いた杉原は。

目を伏せ、口元だけで笑うと。

なにも言わずに“ポン”と茜の頭に手をのせた。



そして。

俺に向かって言った。





「…俺はお前が嫌いだ」

『俺もアンタは好きじゃねぇよ』

「そりゃ奇遇だな」





なんなんだ、コイツ。

壊れたか?





「嫌いだけど…俺は大人だ。
茜のために退いてやるよ」





…なぁにが“茜のため”だ。



違うだろ?

退かなきゃ訴えられるからだろ?

“犯罪者にはなりたくない”って。

さっき言ってただろーが。





どんだけおめでたい頭してんだ。

…まぁ、いいや。

おとなしく帰ってくれるなら。





そう思ってたのに。





「…………………………。」

『………ッ!!』





杉原のヤツ。

やっぱり気に入らねぇ!!