「…ガキがオトナの恋愛に首突っ込んでくんじゃねぇっての」





さっきまでとは違う。

声のトーンこそ低いけれど。

バカにしたような口調だった。





「ガキにはガキの世界があるように。
オトナにはオトナの世界があるんだよ」

『だからなんデスか?』

「オトナの恋愛は甘いだけじゃねぇってコトだ」

『…意味がわかりませんケド?』

「成績いいんだから理解しろよ」

『アンタの日本語なんて理解したくもナイですね』





バカじゃねぇのか?

よくこんなんで教師になれたな。





“恋愛は甘いだけじゃねぇ”





そんなの“オトナ”だけじゃねぇだろが。





遠回しに言うんじゃねぇよ。

はっきり言えっての。





「…ならわかりやすく言ってやろうか?」





杉原は咥えていたまだ長いタバコを灰皿に押しつけると。

“ニッコリ”笑った。