半熟cherryⅡ


『…わかってるよ』



わかってる。

茜が俺にはまってるってコトぐらい。



…わかってるから。

そんなカワイイ顔を見せないで。





……襲いたくなりマス。





「…それと。
後で“武勇伝”聞かせてもらうから」



頬を赤らめたままちょっと拗ねた顔をする茜。





………ゴメンナサイ。

こんな顔されて。

何もしないでいられるほど。

“いいオトコ”にはなれマセン……。





一応周りを確認してみる。



……誰も、いない。




「……郁?」




茜が小さな声で俺の名前を呼んだ。



それを合図に。





“チュッ”





茜の唇に軽いリップ音をたてた。





「んなッ…!!」

茜の顔がまた赤くなっていく。



『茜がカワイイからしたくなった』

「ココ、学校だよ?!」

『知ってるよ』



…焦ってる顔もカワイイ。



わかってるよ。

“茜が俺にはまってる”んじゃなくて。

“俺が茜にはまってる”んだ。