『…わかってるよ』
わかってる。
茜が俺にはまってるってコトぐらい。
…わかってるから。
そんなカワイイ顔を見せないで。
……襲いたくなりマス。
「…それと。
後で“武勇伝”聞かせてもらうから」
頬を赤らめたままちょっと拗ねた顔をする茜。
………ゴメンナサイ。
こんな顔されて。
何もしないでいられるほど。
“いいオトコ”にはなれマセン……。
一応周りを確認してみる。
……誰も、いない。
「……郁?」
茜が小さな声で俺の名前を呼んだ。
それを合図に。
“チュッ”
茜の唇に軽いリップ音をたてた。
「んなッ…!!」
茜の顔がまた赤くなっていく。
『茜がカワイイからしたくなった』
「ココ、学校だよ?!」
『知ってるよ』
…焦ってる顔もカワイイ。
わかってるよ。
“茜が俺にはまってる”んじゃなくて。
“俺が茜にはまってる”んだ。

